鳥につつかれ、獣に喰われ。
今や敵味方の判別どころか人としての形状すら保っていないそれらの持ち主達は、例えその場を生き延びていたとしても、今やこの世の者ではなくなっているだろう。
肉片を集め、手厚く葬り。手を合わせて死者を悼みながらも、その中に己の恋人がいないことを願う。
一縷の望みという言葉が、これほど心身に重く圧し掛かってきたことはない。
テンゾウの消息が途絶えた街で、俺は黒猫を拾った。
汚く、反抗的で、そして瞳の大きい猫を。
「ねえ、お前。本当はテンゾウなんでしょ…」
無理やり懐に入れて宿に連れてきた黒猫は、俺の問いかけにふうぅという低い唸り声で答えた。
碌な餌にありつけていないのか、痩せて体も毛羽立っている。
俺は両の掌の中に拘束したその細い体に自分の額を押し付け、懇願した。
「お願い。テンゾウだって言って。生きていると言って」
猫は暴れた。
俺は己の両目が潤むのを自覚した。
「嘘つき」
声が情けないほど震えている。
物言わぬ猫を押さえつけながら、俺はまた力なくうめいた。
「嘘つき……」
+ + + +
Mさんちの猫犬テンカカに触発されました…!
野球拳なんて、実に数年ぶりに聞いた単語な気がする…。
忍びの里で「野球」はないだろ、と思いつつ即座にヤマカカ変換。
ああ。典型的なゆひ式ワンパターン話…。orz
でもGWの場つなぎに虫干ししておく。←だからのぎわ様語録はもういい加減にしろよと
ホントは削れるだけ削った100文字ぐらいの萌えのみ抽出SSSっていうのもエスプレッソみたいで好きなんです(自分の書くのは『香り高い』とは言いがたいですがー。カカイル界にそんな神が数名いらっしゃいますよ。小心者ゆえ恐れ多くてこっそリンクさえできませんが…)。
次には1000文字のライン、3000文字のライン、一万文字のライン、三万文字のラインって感じで、文字数と表現できる範囲を考えると超トキメキます(うっとり)。
びっしりつまった三万字クラスを丁寧に書かれるMY神様方の手腕には憧れますが、そして五万字クラスを日常の匂い濃厚に心情的に書かれるやはりMY神様方の才能にも嫉妬はしますが(オイィ)。
100文字のはCPというよりいわばシチュエーション萌えが主で、わりとヤオイ的な萌えが前面に出ている感じがします。
漫画の四コマと似ているようでいて、でもイラストや漫画表現はわりと正統派二次創作(ってどんなda☆)に近い印象があります。人物を『描く』ということは、キャラとの距離感が三人称で文章を書くことにちょっと似てるかななんて思ってみたり。
息抜きで場面だけ書きたい時は1000文字ぐらいになりがちです。
そして肉付けをすれば十分に中編以上になれる題材をいいとこどりで3000文字にする作業は結構好きです。
読むのも好き。この手の表現を好んで書かれる方は、整理整頓が得意で部屋が綺麗なんじゃないかと勝手に想像しているんですが、私の部屋は収納スペースに入る以上に物があって統一感もまとまりもありません(好んでいるだけでエキスパートじゃないということか)。
たまに「もったいない」と感じることもあるんですが、私が長編(中編)を書くと間延びしてしまうので、ここで満足しておくのが能力的に無難かなと。今は。←笑
個人的にははまりが深いCPであればあるほど、キャラを取っ払っても物語として成立できるほどの力量がある『小説』が読みたくなるものなので(ある意味すごい矛盾)、テンカカ界は、最高です。
満足以上の喜びで満たされています。ありがたやありがたや。←ばばくさい
*補足*
構成力(っていうのかな)や、表情表現に優れたイラストはたった一枚で背後の深い物語まで連想させるものですが、これって文章ではなかなか対抗しがたいなと。
文でも書きすぎないことが読み手の想像力をよりかきたてるという現象があるにはありますが(と、これは物語全般に言えるのかも。良質な謎が多い方が読み手をより没頭させることができる)。
創作意欲にがっつんときたそんなイラストをいただいているので、近々公開できると思います。Mさんいつもありがとう。えへへ。