ギャグ風味でかなり下品な…。
聞きたくないことを聞いた。
自分に関する噂なんかより、それはもう、遥かに。
そもそもが、そういう下世話な噂話は、本人を避けて回りに回ったりするもんだ。
――テンゾウが花街で女を買った。
あいつ、実は筆おろしだったんじゃないのか、と。
お前らにもそんな初々しい時期はあったんだろうに、わずかに笑いを含んだ声でささやき合う男たちの傍らで。
俺は。
いつものつまらなそうな表情のまま。
チャクラ切れを起こした時のような息苦しさを感じていた。
血臭混じりの、湿気を含んだ砦の空気が肌に不快だ。
じりり、と俺の足袋に踏まれている砂利が嫌な音を立てる。
「カカシ先輩」
敵陣の偵察から戻ってきたテンゾウの報告を聞いて、俺は頷いた。
「よし。遠距離感知組だけ持ち場で待機。他は体力温存。ゆっくり休んでろ。テンゾウは……」
別に何の意図もなく言葉を切ったら、暗い色合いの瞳と視線が合う。
「テンゾウも、しばらく休んでいいよ」
馬鹿なヤツ。
郭に出入りするなんてところを、見られるようなヘマしやがって。
「……?」
戸惑ったようなテンゾウの表情から、俺は自分が存外鋭い目つきでヤツを凝視していたことを知った。
だが、あれだな。この感情はあれだ。
『先輩。先輩』って、あんなに思わせぶりな態度をとっておいて。
許せない、というのは、少し違うが。
喉の奥からせりあがってくる嗤いをかみ殺す。
時間と場所と、瞬時に計算した結果、答えは出た。
「お前、まだ男は未経験でしょ。ケツ穴の味をたーっぷり教えてあげるから。こっち来なテンゾウ」
直接的であけすけな言葉の方が、むしろ感情にシンプルでいいね。
俺の思惑なんて、ひとつでいいよ。
女には絶対負けない。
のぎわさあああん