「テンゾのせいでお腹の中がたぽんたぽんになったー」と笑って僕の羞恥心を煽る先輩は、「掻き出しましょう」と伸ばした僕の手からやんわりと逃れて愛しげにお腹をさすった。
「んふふ~。テンゾウの子供って、きっと猫みたいでかわいいと思うんだー…」
ふぁう、と欠伸をして、すぅと目を閉じた先輩の息が、ほんの短い間の後にすぐ寝息に変わった。
「先輩…」
そっと腕をとって寝台に横たえた先輩の身体の奥から、どろりと僕の吐き出したものが流れ出てくる。
「…う」
いたたまれない気持ちで見る、いたたまれない光景。
生物学的には全くの無駄撃ちになった僕のものを目の端に捕らえながら、銀色の髪を撫でつけ訊ねる。
「…先輩。もしかして、子供が…欲しいんだ…」
せつなくなってぎゅっと先輩の髪を握り締めたら、寝ていたと思っていた先輩がかっと目を見開いた。
「はぁ? どんだけドSなのお前って。俺に産めるわけないじゃないこの人でなしが。次からナカ出しは一切許さないからねっ」
「え、えええっ!?」
そんな! ちょっと待ってください! と反駁しようにも先輩はまた寝息を立てていて。
「ね、寝言…?」
さっきの発言を覚えているのかいないのか、明日の朝が恐くて、びくびくしながら僕も眠りについた。
僕は先輩さえいれば、子供は…いらない…かな…(先輩だけで手一杯です…)。
無題
のぎわさーん