先輩は銀色。
赤いうちはの異物を、大切に中心に抱く人。
僕は黒くて。
そう作り変えられたことに痛みと恐怖を感じた過去はあっても、それは過ぎたことだと思っていたのに。
なのに。
初めて触れたその人の肌に、その視線の先に、気が、狂うかと思った。
「テンゾウ。髪染めたの」
それでもあなたは、僕に抱かれてくれますか、と。
問いかけたら、多分慈愛を偽ることに長けた瞳が、きゅうと細くなって笑われる気がする。
あなたの本当の気持ちなんて、欠片も表には出ないまま。
茶色くなった僕の髪をもてあそんで。
「じゃあ、俺も、テンゾウの色に染めてみようかな、この髪」
どこかうっとりとした声音で微笑むあなたを。
本当は問い詰めたかった。
凶器に似た感情で。
あなたの瞳に映る僕の色は、今は初代様の細胞に塗り替えられた、うちはと同じ色。
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