調子に乗って7/2の続きです。マドラーあんまり関係ない…。
酒が入った眠りっていうのは確かに質が悪い。俺は夜中に二度ほど目を覚まし、その度にうふうふと笑いを噛み殺していた。
女体化していつもより小さくなった体をヤマトの方に摺り寄せる。
今は熟睡しているヤマトが、起き抜けに隣で寝ている見知らぬ女を見て慌てふためいたり冷や汗を流す様を想像するとおかしくてしょうがない。
だが、今日に限って、朝が来てもヤマトはなかなか目を覚まさなかった。
「…おーい。テンゾウ君?」
つついてみたが、反応は薄い。
気をそがれた俺は寝台のヤマトの脇で胡坐をかき、ぼんやりとカーテンの向こうの朝日を肌に感じていた。
「……」
「……」
「!」
朝っぱらから大きな目だね、テンゾウ。…ていうか、何か恐いよ?
気配もなく起き上がっていたヤマトが俺の方を真剣な目でじっと見ていて、ニコリともせずに詰問してきた。
「どちら様ですか。先輩とどういう関係なんです?」
……あー。こうくるとは思わなかったな。
ヤマトが我が物顔にしょっちゅう出入りしているとはいえ、確かにここは俺の家だ。
寝台の上で、裸の女と上忍服姿の男がふたり。
しかし、何やら艶事とは程遠い雰囲気だ。
俺はか細い声を出してみた。
「昨夜……」
「昨夜? 昨夜、何です?」
ヤマトは当然含まれた言葉の裏に動揺することもなく、むしろ強い口調で確かめるように訊いてくる。
じっと見つめてくる目もさっきから変わらず真剣だ。
……何だか、とても、やりにくいな。
面倒くさくなって、もうこのまま変化を解いてしまおうかと思っていたら、真剣な顔をしたヤマトに肩をつかまれた。
「まさか、僕、あなたに失礼なことは何もしていませんよね?」
……おい。
そういう責任逃れをしようとするかお前。
俺は、というか、お前の横で寝ていたこの女は裸なんだぞ。
むき出しの肩に気安く触るんじゃない。というより、胸も下の毛も全部見えてるだろうお前。
自分で裸の女になっておいて、むかむかとちょうど面白くない気分になってきた頃。
「僕には、とても嫉妬深い恋人がいるんですけど…」
ん?
嫉妬深い?
お、俺か? それって俺のことか。
「だから、この状況は、見られたら非常ーに、まずいんですが」
くっ、とヤマトの口元が笑う。
「でも」
何を言い出す気だ。
「ばれなければ、いいですよね」
「え?」
俺は、ごくり、と唾を飲み込んだ。
うそ。
「で、昨夜、何があったんでしたっけ?」
有無を言わさないような力で抱きしめられる。
耳元でくすぐったいほどの低音が響いた。
「カカシ先輩?」
「こいつ!」
あはははと軽快な声で笑うテンゾウと取っ組み合ってばたばた転がりあったのは、何年ぶりかね、これ。
「あんな顔するぐらいなら、何であんな悪質な悪戯しかけたりするんでしょうかねえ先輩は」
なんて余裕の顔で俺をからかっていたヤマトも、実は夜中に女の俺を発見した時は息が止まるかと思ったそうだ。
嫉妬に狂って髪振り乱した俺が(失礼だよね)いつ現れるか戦々恐々としながら解術して、俺の悪戯だとわかった時には安堵のあまりへなへなとへたり込んだとか何とか(大げさな)。
まぁ、安心した分、怒りは解術されたにも関わらず、裸でぐーすか寝こけていた俺に向けられたわけらしいが…。
「まぁ、あれよ。あんまりアスマとか他のヤツに甘えないで、不満があったら俺に直接言ってよ」
「だって、僕よりナルトの方を気遣ってる先輩にいい顔するのが癪だったものですから」
あれ。
もしかしてまた何か思い出して不機嫌になってるんじゃないのかねこいつ。
「テンゾウ~。機嫌直してくれよ~」
何だかやっぱり、昔とは若干関係が変わってきているような気がするよなぁ。
男に戻った俺は、ヤマトの背中に張り付いて許しを請うた。
* * * *
うーん。ヤマカカの習作っていうことで…
ひゃ、ひゃあああ!
まつもとしゃあん