暗部時代に人に言えない所までお世話した後輩は、『大きくなったから恩返し』といわんばかりのねちっこさで俺の体をもてあそぶ。
「う、うあっ!? そんなところまでするのか!」
「するんです」
くそっ。まだ足りないか。
心身ともに余裕のなかった暗部時代ならいざ知らず、上忍師になってからの俺は若干所帯じみた。ぱたぱた団扇で扇ぎながらのんびり庭で秋刀魚焼いてたりして、上手く焼けた方に大根おろしのせて「ヤマト。食うか」なんて言ってたらいい雰囲気になって露に濡れた草木の上などではなくベットの上で揺さぶられてたりする。
突発的で所構わずだった昔に比べ、痛い思いをしなくてもいいのはありがたいが、時間のある分、準備と行為に妙~に神経がいって仕方がない。
「おい。そんなことまでする気か!」
「したいんです」
そこはしっかり洗ってないぞ!
「やめ、やめろっ」
じたばた暴れても若さと現在の任務量…つまり体力面で完全に負けている俺は、
「おとなしくしていてください」
と後輩に脅され、ねっとりじっくり好きなようにされてしまう。
数時間後。
ぱたっ、と屍のようになって寝台と一体化した俺を眺めて、ヤマトが笑う。
「いくつになっても…。いえ、昔よりずっとかわいくなりましたよ。先輩」
「お前はまだ若いのにえろ親父になったね……」
ふふっ、と微笑したヤマトはすぐに暗部装束に着替えて窓に手をかけた。
「ごめんね。先輩。今度はちゃんと話をする時間も」
「馬鹿だね。変なこと気にしてないで早く行きな」
「……」
困り顔になったヤマトを見て、せつなくなったのは実は俺の方だ。
そうだよ。心身ともに余裕が出来ると、いらないことばかり考えて参る。
「行って来い。俺はここにいるから」
「はい」
にっこり笑顔になったヤマトは、年齢と顔に似合わぬ仕草で俺に手を振って窓から消えた。
やれやれ。
あれがかわいく見える俺もかなりの重症かねぇ。
ごきごきと首の筋肉をほぐし、足りない睡眠を補うために少し寝ようかと、俺はあくびをした。
* * * *
しっかり洗ってるか洗ってないか。書きたかったのはそこだけです…。