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忍禁書外伝的日々妄想

基本ヤマカカで暴走モード。完全腐女子向け。
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『またあした(テンカカ)』

今月はずっと18菌と共に暮らすであろう方への激励の意味も込めて、短いSSSですが私も少しだけ感染してみました~(久々)。
18菌といえば、ちょっときっかけがあって昔書いた物を恐る恐る読み返してみたのですが、(羞恥でゴロゴロ転がりつつも)自分結構頑張っていて驚きました。えちは3写生ワンセットが目安…(ヘロヘロ)と、かたくなに信じていたあの頃でした。
うしっ。楽しいことのために調子上げていかないと~!

後輩として、そして仲間としてなら果てしない慈愛を注いでくれるあの人は、僕が少しだけその域から踏み込むだけで、さりげなく距離をとってすげなくかわす。
高潔で静かな横顔を邪な視線で犯している。そんな己を、僕は密かに呪い、蔑んだ。
だから、我慢がならなかった。
自分の代わりに、僕に女をあてがえばいいと短絡的に考え、彼女を唆した先輩が。
「どういうつもりですか」
彼女に近づき、僕の話ばかりをし、巧妙に『恋』と錯覚させるだけの工作をした先輩は、静かな姿勢を崩さなかった。
いつもと何も変わらない瞳で、怒りを押し殺している僕を無感動に見つめる。
演習場の片隅に設置されたシャワー室の脇で、暗部の男がふたりきり。
夜も更けたこの時間に、獣の遠吠えや虫の声以外、立ち入る人の影はない。
問い詰めたら、暫くの沈黙の後に、「お前が、寂しそうだったから」とその唇が言い訳にもならない戯言をつむいだ。
苦い、苦い言葉をのどから搾り出す。
「余計な、お世話ですよ」
それは衝動的で、そして自虐的でさえあった。
「先輩のことが好きでした」
告白する己の声は、僕が自分で思っていたよりもせつなくて遠くて。
自分の価値を過信していたわけじゃない。ただ、少しでも動揺する先輩を見たかっただけだ。
「でももう、目の前から消えてくれたらいいと、そう思います」
終わったと思った。
自分が取り返しのつかないことを言っているとも。
でも。
先輩には何の変化もなかった。
ただ、「そう」とでも言いたげな瞳が、ほんの少しだけ色を濃くしただけで。
これ以上何が言えるだろう。僕が立ち去ろうときびすを返した時、静寂を引き裂いて小さな呟きが波紋を投げかけた。
「どうしたら許してくれるの」
振り返る前に、先輩は口布を下ろし。
「しようか」
と、やはり感情の読めない声で、そう誘った。

痛いでしょう。
そう労わる声をかけるのは、何か違うような気がした。
やめましょうか。
男の生理を押し殺してそう提案するのは、酷く滑稽な気がした。
僕を誘った先輩のからだは明らかに男には慣れてなく、その事実に一喜一憂する僕の気持ちを踏みにじるように、先輩の瞳は夜の月をただ見つめ続けた。
拒否されているわけじゃない。
嫌われているわけじゃない。
……きっと。
でも、こんなんでからだが気持ちがいいわけがない。
僕から一方的に求めるだけで、先輩はただ受け入れるだけ。
不平を言わず、時折目を閉じるだけ。
僕は先輩の眉が苦痛に顰められないよう祈りながら、先輩の唇が僕の名前に動くことを期待しながら、彼の心のように頑なで乱暴にすると逃げてしまいそうな秘所を、探り、穿ち。
全てを僕の思い通りにしたのに、なのに思い通りに全てをくれない先輩に対する絶望感に塗りつぶされながら、動いて、唐突に泣きたくなった声を誤魔化して、うめいた。
全身ですがりつく僕を、先輩がどう思ったのかは知らない。
呼吸を整え、それでも先輩を手放さそうとしない腕の中から、するりと抜け出して乱れただけの着衣をすっと整えた。
ため息なのか、ただ息をついただけなのか。
小さく息を吐いた先輩は、
「……じゃあね。またね、テンゾウ」
と、少しだけ首をかしげて言い、音もなく消えた。
夢だったのか現実だったのか。
僕は、まくれ上がっていたアンダーの裾を直しながら、先輩の口調を真似して、繰り返した。
「じゃあね。またね、テンゾウ」
 
******
文章書くのはしらふの時のみ!という禁を初めて破りました。酷いですが、これはこれで(またどんどん書けばいいじゃないとめずらしく前向き)。

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