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忍禁書外伝的日々妄想

基本ヤマカカで暴走モード。完全腐女子向け。
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『無題(テンカカ)』

『絶望の中で僕は生まれた(テン誕)』のふたりです。
「何もないよりはマシ」な程度のちょろ書きですみません。←ここまでシンクロしなくてもいいorz
こちらも素直に考えると私的にこんなイメージ…。

****

会いたかった。
素直に口に出すことが、なぜこんなに難しいのだろう。
屈服することは屈辱だと、多分僕は心のどこかでそう思ってきた。誰かに心を明け渡すその可能性でさえ考えたことのなかった僕の足は、その日、自意識を裏切って先輩を探した。
日の落ちた人気のない慰霊碑の前。
やや頭を垂れたような寂しげな姿勢で、その人は立っていた。
今なら容易にその背中を貫くこともできそうだ、そう錯覚してしまうほどの頼りなさと存在感のなさ。
秋を感じさせる冷ややかな風が、湿気を含んだ空気を軽く引き裂く。
「テンゾウか」
先輩は振り返ることなく僕の名前をつぶやき、沈黙した。
はい。そう答えかけた声は、僕を見ようとしない先輩の後ろ姿に挫かれ喉の奥に飲み込まれた。
だからせめてもの抵抗として、黙って頷く。
その様子を悟ったのか先輩が微かに微笑んだような気もしたけれど、これも錯覚か。
一週間前、至近距離でチャクラ切れの先輩と瞳を合わせた。
ぐったりと冷たい体を温めようとして腕の中に抱いたら、息が触れるほど近いところに先輩の顔があった。
永遠の短さとでもいうような奇妙な長さを感じる時間。
互いの瞳を見つめ、硬直した時間を破ったのは、先輩の身じろぎだった。
「お前、犯されるかと思ったじゃないの」
声に感情を乗せずゆっくりとつぶやいた先輩は、言葉とは裏腹に身動きの取れない体を僕に預けた。
そこには確かに、僕が性急な行為に走らないだけの、関係に余裕を覚える安心感や近しさがあった。
なのに。
今日慰霊碑の前にたたずむ先輩の背中は、儚いだけでなく、どこか遠い。
うちはオビト。
年を経るごとに慰霊碑に刻まれた名は、水を吸い土に馴染み苔にそのふちをまろやかにさせ……そして先輩に、
突如近づき、常になく激しく実力行使で微動だにしない肩をつかんだら、よろめいた先輩が僕と視線を合わせるのを避けるように腕を上げた。
「ああ。悪い。テンゾウ」
忘れたくないんですよね、先輩。
一年一年……いや、一歳一歳。身代わりの人生であることを確認して彼の意志を骨の髄まで刻み込むため、『余り』の人生をいつ捨て終えても本望だと考えるために。
どうせ僕に戯れの言葉をかけたことだって後悔してるんでしょう。
「僕には何が欲しいかって聞いておいて、自分だって何が欲しいか言えないんじゃないですか」
全てが憶測の域を出ない決め付けだったのに、瞳を伏せた先輩は唇の形だけで笑い、
「ごめん。テンゾウ。また今度にしてよ」
優しい声音でそう拒絶した。
僕は懇願の形をとったその命令に従うべきかどうか一瞬だけ躊躇い、
「嫌です」
気持ちに素直に、ただ、つぶやいた。
「嫌です」

****

思わぬ後輩のワガママに、カカシ途方に暮れたらいいと思います。
と、やっぱり祝ってないよ!的な内容でスマン…。

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