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忍禁書外伝的日々妄想

基本ヤマカカで暴走モード。完全腐女子向け。
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『悪戯の権利』(テンカカ)

※「え?この話…」と気づいた方には抱擁をvvv


こんなことを言うのは恐れ多いが、カカシ先輩は任務以外では抜けてる…というか、クールなくせに若干天然だ。
しかも暗部の面を外しても、さらにその下に常時マスクをしているので表情がよくわからない…というか、正確に言うと、読めない。
僕が一生懸命話しかけても、任務以外のプライベートなことだと返事が返ってこないことがある。
そんな時は大抵ちょっとうつむいてるから、何だか先輩が弱っているようにも見えて妙にドキドキしてしまうんだけど、その内に自然な態度で「じゃあね」なんてさらりと、かつあっけなく別れを告げられたりするから彼のことがよくつかめない。僕の相手をするのが退屈で実は半分寝ていたのかもしれない、などと考えるのはちょっと直視するのに辛すぎる現実だけれど。
強くて優しいけど少し近寄りがたい雰囲気を持っている先輩は、暗部の中でも密かに憧れられていて、何かのきっかけで先輩と親しく話したいと狙っている奴らも少なくない。そう、非常に気がかりなことに、先輩はとてももてるのだ。男に……。でも、もしそんなことを本人が知ったらどういう反応をするのか、ちょっと想像がつかないけれど、案外「ふぅん」と眠そうな目でなおざりに相づちを打ちながら本気にしないような気がする。
だからそんな先輩が心配で、僕はこの日先輩を探して捕まえた。
ソファで仮眠を取っている別班の隊員以外いなかった暗部待機室で、先輩は例の十八禁書を片手にくつろいでいた。
「先輩。トリック・オア・トリート!」
「!!!」
案の定びっくりして固まっている先輩に、先手を打っておいてよかったと思わず笑みがこぼれてしまう。
今日はお菓子を持ってないと悪戯されちゃう日で、そんな風に無防備にしてたら、付け込まれちゃうかもしれないんですよ!とは心の中だけで思っておく。
「準備なんてしてないでしょう、先輩。はい。僕がお菓子をあげますね」
お祭りのためのカラフルな飴は食べるには勿体無いほどキラキラしていて、先輩を想って買う時に僕もちょっと童心に戻ってわくわくした。
これで不埒な輩から身を守ってくださいね。と念を込めながら、先輩の手を取っていくつか飴を渡す。
先輩はいつものように目を伏せてちょっとうつむいてから、「ありがと……」と小さな声で言った。
反応の薄い先輩のことだから何を考えているのかやっぱりわからなかったけど、嫌がられてはいないんじゃないかなと希望的観測で思ってみる。
そして先輩がごそごそと僕のあげた飴をポーチにしまった時、火影室から出てきたらしき数人が待機室に入ってきた。
もうちょっと先輩の顔を見ていたかったのに、僕は何となく先輩から身を引いて離れた。
「おー、カカシー。トリック・オア・トリート」
待機室には少々場違いに元気な声だ。陽気な性格のその男は、「持ってないなら悪戯決定~」と決め付けながら、先輩の腰に手を回そうとした。
「何言ってんの」
さっと身を翻して先輩は避けたけれど、任務後の高揚も手伝ってか、相手もしつこかった。
いくら先輩の意に染まない流れだったとはいえ、所謂は人目もある待機所でのじゃれあいだ。この手の冗談を嫌っている節があるとはいえ、先輩も大人気なく本気では抵抗できない。
見ている周りの人間も「いい加減にしろよー」なんて口だけで軽く諌めながら、仕方なさそうに笑っている。
でも徐々に追い込まれて、先輩がどさりとソファに押し倒された時、さすがに見てられなくなった。
先輩は無言でじとっと男を睨んでいる。
僕は二人に歩み寄って、先輩のポーチに手を突っ込んだ。
「先輩だってお菓子持ってますよね、ほら」
「あっ」
声を上げたのは先輩だった。その声が驚きと、そして微かに非難の響きを含んでいるように感じたのは気のせいか。
「なーんだよ持ってんじゃん。つまんねえの」
やり過ぎた自覚があったのか、男はバツが悪そうに僕から飴を受け取った。
先輩の上から退き、びりっと袋を破って飴を頬張る。
「ん、これ意外とうまいじゃん。まぁ、今日のところはこれで許してやろう」
どこかの悪役のようなセリフを吐いて、男は床の上に無造作に袋を捨て仲間と待機室を出て行った。やれやれ。
それにしても、解せないのは先輩の態度だ。
ソファから身を起こして、一番大きな飴を取られてへこんでしまったポーチをぼんやりと眺めている。
「まさか、あいつに悪戯された方が嬉しかったですか先輩」
「ま、まさかっ」
慌てて立ち上がるその様子は、図星を刺されて動揺しているのか、まったく、いつもの先輩らしくない。
真偽を確かめるためにじっと見ていると、先輩はすごく居心地悪そうに視線を逸らして、ぼそぼそと言い訳を始めた。
「だって、せっかくお前がくれたのに……」
「そんなのあげちゃえばいいんですよ」
語気が強かったのか、先輩はびっくりして黙ってしまうし、向こうのソファで寝ていた誰かがうるさいと言わんばかりの抗議の身じろぎをした。
「……何で大声出すのよ」
「すみません」
謝ったものの、何だかすっきりとしない。
「とにかく、理由つけて襲われる前に渡してくださいよ、それ」
先輩はすぐに返事をしなかった。
「先輩」と促したらやっと「はいはい」と気のない返事をしてたけど、いろいろとわかっているのかいないのか。
何だか危なっかしくって、放っておけない人だ。
僕は残りの飴も全部先輩の手に握らせながら、本人が知ったら冷たく一蹴されそうなことを、ちらりと思った。


*****
ちょっとライトな感じでなんちゃってハロウィン。
忍びの里で西洋系の祭りはそぐわないことこの上ないですが、書きたかったんだからしょうがない。
元ネタ?は去年の妄想語りです☆
http://rankk.blog.shinobi.jp/Entry/524/

現在『テン←カカでテンゾウ視点』絶賛フィーバー中!

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