言うなれば。軽く、わからないの。
こんな時、どうしたらいいのか、わからないんだけど俺……。
「後ろの浮気は容認できませんが、アナタも男だ。僕が、女相手のそれまで制限できる権利があるとは思いませんよ」
唐突に思いもよらないことを言われて、俺は繋がる準備をしていた体の動きを止めた。
これは、もしかして寛容さを示しているつもりなのテンゾウ。
なのに突き放された気分なんだけど。
その深刻な眉間の皺。俺が何かしたの。
何かいけなかったの。
「俺、浮気はしない主義なんだけど」
「知ってます」
「まだ、そんなこともそんな気持ちにもなったことないんだけど」
「わかってます」
じゃあ。どうして。
頭の中でぐちゃぐちゃと、自分が今どんな表情をしているのだとか、俺にそんな欲求が芽生えたときにはお前がどんな手を使っても阻止すればいいじゃないかとか、その方法とか、報復の手段とか結果とか、関係の、終わり、とか。刃傷沙汰とか。気持ちが足りないんじゃないかとか。そんなことになるぐらいだったら俺にお前を抱かせればいいじゃないか、とか。何だったら女体にして滅茶苦茶にしてやるよ覚悟足りないんじゃないの、とか。お前、まさかこの俺を怒らせてただで済むなんて思っちゃいないよな、とか。
「おぼえておいてくださいね」
にこり、と微笑んだはずのテンゾウの目が笑っていなくて、俺は一瞬呼吸を忘れた。
「テンゾウ」
重なる唇は、優しいはずなのにどこかよそよそしくて。
凶暴に啼かされて、心を置き去りにして、一方的に侵入されて、「離しませんから」、涙が出て、お前、馬鹿なんじゃないかと。もっと言い方が他にあるだろ。ホント、お前馬鹿だ。この俺の恋人失格だよ。
この世の終わりみたいに緊張していた気持ちが急に楽になって、呆れて、笑った。
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乙女性と、男らしい凶暴さの同居。テンゾウは無粋なリアリスト。
超お久しぶりです!
ぎゃあ!咲花さん!