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忍禁書外伝的日々妄想

基本ヤマカカで暴走モード。完全腐女子向け。
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『二重任務』(テンカカ)

突き立てた刃に力を込め、その体に抉り埋める。
苦痛に歪むはずの表情が、瞬間嗤ったのを見て、僕はその体から素早く離れた。
課せられた任務は、暗殺。
心の臓を一突きにされ絶命したのは、人望とまわりすぎる頭を持ち、そして暗愚な身内から保身を怠ったはずの、男。
「後味が、悪いなあ……」
事態の全容は知らされずとも、里がこの件に関して任務料を二重取り、いや将来的に少なくとも三重取りすることは、「男」の薄ら笑いを見た瞬間に理解した。
この手で殺した人は。
なんと僕よりも先に帰り着いた里で、飄々と徳利を傾けていた。
……散らかした僕の部屋の中で。
「死体役はちゃんとこなしたんですか。先輩」
「んー。ちゃーんと幻術行使して働いたーよ俺。完璧よ?」
へらり、と端正な顔が笑う。
あー。きもちいー。と床に転がって頬をすりつけながら視線だけを僕にあてるその態度。行儀の悪さ。
「痛かったですか?」
先輩に近づいて膝をつき、彼の胸のあわせから手を差し入れてあるはずの無い傷痕をさぐれば、酔いにかこつけて艶やかさを増した瞳が性悪に細められた。
「それはもう、ね」
指が、先輩の体をまさぐる僕の手に絡み付いてくる。
「感じちゃった。影分身解いた瞬間に」
開かれたからだが、僕を誘う。
酒の香りのする唇にくちづけて。
「先輩の悪趣味」
意図せずしてそれが子供っぽい尖った声になって、自分でも軽く驚く。
そして誘いをかけていた先輩の瞳も意外さに瞬いて。
「ごめーんね」
でもすぐに甘く微笑んだ先輩は、とろとろに潤んだ瞳と肌とで僕を惑わしにかかり。
無論僕は、その酔いに、のった。
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