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忍禁書外伝的日々妄想

基本ヤマカカで暴走モード。完全腐女子向け。
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『やさしい後輩』

「テンゾウ。俺、また破談になっちゃった」
その言い方だとまるで破談の常習者のように聞こえるが、ほんの少し元気のないカカシ先輩が同じ理由で僕を酒に誘ったのはこれで二度目だ。
あの伝説の白い牙の息子であり、さらにうちは一族でもないのに写輪眼を持っているという特殊な事情に加え、自身も暗部に身を置くカカシ先輩。そんな先輩と『釣り合い』のとれた家柄の娘と見合いして、お互いそれなり以上の好印象を持ち、いざ結婚してもいいかと思うたびに問題は起こるという。
「どんなに反対されても愛を貫くなんて、まるでイチャパラみたいで素敵だよねえ。だから『本当に好きな人と一緒になりな』って背中押してやるんだけど、やっぱり俺も寂しくなるのよ。ねぇ、テンゾウ、これって失恋?」
「……その、破談になった彼女を想って胸が痛くなったりするわけですか?」
「んー。そういうわけじゃ、ないんだけど……」
胸も痛まないくせに失恋をしたと言い張るカカシ先輩は「ふぅ」といっぱしにため息をついた。
本当に『胸が痛い』というのはこういう感情を言うんです、と。
せつない感情を抑え込んで、僕は元気のない先輩を慰める。
「僕が、いるじゃないですか」
「……うん」
「そんなわけのわからない失恋もどきで、落ち込まないでください。たとえ先輩が結婚しても、子供ができても、僕は先輩の味方です。それはずっと、変わらないです」
万感の思いを込めた本音に、先輩は「うん」とは言わなかった。
暫く黙り込んでいた後に、「それって、まるで……」とつぶやいて、また呆然としている。
「先輩?」
「う、ううううん。うん。なになに?」
「……僕の話聞いてました?」
「聞いている聞いてる」
笑顔のこわばった先輩は、それからたまに僕の前で考え込むようになった。
僕は衝動に支配されないまま、優しい後輩を装っている。
そんなこともあってから、僕達の距離は、以前と同じか、むしろ少し遠い。

* * * *
突発で「やさしい」テンゾウ。同じく見合い編の「やさしくない」テンゾウは書き途中(笑)。

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