一歩。
また一歩。
彼に近づくたびに、血のしたたりが僕の足元を濡らす。
僕の目を奪う銀髪の主は、いつでも仲間から少し離れた場所でその細い体を休めていた。
その高尚な精神と芸術的価値のある肢体は誰からも彼を近寄り難くさせ。
弛緩した時間に訪れる束の間の談笑に加わらない冷めた瞳が、僕の姿を認める時だけニィィと細くなる。
おかえり。テンゾウ。
彼は、カカシ先輩は、言葉ではなく、そう、誘うのだ。
瞳で。
背筋が凍り、僕は引きずられそうになる魂を、必死で自分の領域に縛り付ける。
何の関係もないのに脳裏を駆け巡る過去の記憶。
感情。
痛み。
衝動。
おいでと誘う。
カカシ先輩の視線が僕を。
ひとつ。
またひとつ。
累々と重なっていく屍の上を進めば、たどり着く先には彼の姿。
だって、仲間……デショ。テンゾウ。
他の人へ向けられる内容とはどこかが決定的に違う、言葉。
声。
微笑。
粘着。
「お前は俺と」
同じものに。
僕は、悲鳴を呑み込んで、拒絶の言葉を吐いた。
「絶対に、ならない」
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息抜きでなんか少し。カカシの解釈をごちゃごちゃ考えた末の産物。